Linuxディストリビューション
Linux ディストリビューション略して Linux distro さらに略して単に distro と呼びます。 BSD Unix や 商用 UNIX に distro という用語はないので、 distro と言えば Linux 系の話に決まってます
OS は
- カーネル (OS の中核部分)
- ユーザランド (ユーザが操作に使うプログラム群)
- サードパーティ (OS作成者(たち)とは異なる第三者提供のプログラム群) の3つの部品から構成されます。 このサードパーティ部分は、たいていパッケージという名前で呼ばれており、 パッケージを管理するソフトウエアがユーザランドに含まれています。
BSD Unix たとえば NetBSD では、 カーネルとユーザランドがプロジェクトの配布物で、 NetBSD Project の直轄です(ソースコードを管理、配布物を生成)。 この配布物のユーザランドには pkgsrc と呼ばれるパッケージ管理システムが含まれており、 サードパーティ製品(含まれる製品数は3万超)を別途インストールすることができます。
Linuxの場合、そもそも作者が無数にいて、
- カーネルは原作者 Linus Torvalds で、いまでも Linus を中心に世界中の開発者が参加して開発中
- GNUプロジェクトの製品を中核に、世界中からかき集めたもの
- その他、世界中からかき集めたもの
この3つ組み合わせになっています。 Linux ディストリビューションは、この3つの組み合わせ方の違いです。 Linux ディストリビューションを大まかに分類すれば数通りしかありません。 ただ、 ディストリビューションの作成者のポリシー次第で無数の組み合わせかたがありえるので、 マイナーなディストリビューションまで数えると、 いったいいくつあるのかわかりません、数百? (それに短期間で生成・消滅してしまうものも多いしね;-)
ただ、大分類では、このような感じになります
- Debian GNU/Linux 系
- Redhat(社) 系
- その他
- もっとも古い distro のひとつ slackware に由来するもの
- alpine みたいに、とにかく小さいぞ!?(これは、コンテナ時代になって需要が高まった分野)
- BSD Unix のように、ソースコードをコンパイルしていくのじゃ
実用的には、次の名前あたりは、おさえておきたいですかね〜
- Debian GNU/Linux 系
- debian (*) … Debian GNU/Linux という名前のとおりフリーソフトウエア運動の本流
- 1/4世紀ちかくコミュニティだけで開発を続けてきたフリーソフトウエア運動の本家本元。 もっともフリーソフトウエア原理主義に近いプロジェクトですが、 真の原理主義者は debian すら生ぬるいと言います
- オープンソースソフトウエアの理論武装は、 debian プロジェクトのフリーソフトウエアとはなにか?という定義を元に作られました (1998)
- 多くの distro の元になっています
- 新規開発の母体として選ばれるのも、たいてい debian
- ソフトウエアルータ vyos (旧 vyatta)
- ラズベリーパイの公式イメージ rasbian
- ubuntu (*) … 使いやすさ優先という感じ
- 大金持ちが作った Canonical 社がバックについている OSS プロジェクト。 Canonical からサポートも購入可。 Canonical 社というバックがある分、いろいろ連携とかも強いみたいで、 Intel NUC 公式サポートとか、 機械学習ライブラリ公式サポートとかいう話になると ubuntu がすごく強い
- 開発のブレとかには金持ちの道楽的な感じもあるけれども…
- Linux Mint … 使いやすさ
- いろいろな見栄えの(GUI管理のソフトが異なる)バージョンがあるので、 MATEという軽いXP風のバージョンを選ぶとか、いろいろ選択できます。 MATE は debian にも逆輸入されて、インストール時に MATE 選択とかできるようになっています
- debian (*) … Debian GNU/Linux という名前のとおりフリーソフトウエア運動の本流
- Redhat(社) 系
- redhat (*) … アメリカ帝国の領土および植民地で商用 Linux といえば redhat
(ヨーロッパでは後述の SuSE)
- 商用サポートが買えることに意義がある distro (なんだかんだと、サポートはないのか!という顧客が多いので商売繁盛)
- 2019 年、IBM に買収されました
- centos (*) … 2021年末でオワコンが決定事項
- redhat の配布物を元に作成する、はっきりいって redhat のぱちもので、 サポート買う気が無いなら、これで十分と考えている人が多い。 そして、すごく保守的なアップデートポリシーなので運用向きと言えます。 (とくに会社で運用するサーバで)サーバ運用は centos で行うということが多い。 もちろん本家は、それが商売の邪魔だと思っているでしょう。 定期的に存続の危機がおとずれるプロジェクト。 CentOS の存続騒動は毎回、本家が絡んでます…
- Scientific Linux: 前回の CentOS 騒動の際に CentOS からの移行先としてブレイクした distro 。 新規開発は停止済みなので現在利用中でなければ忘れてよい distro
- 2021年の CentOS 騒動で移行先候補
- Alma Linux
- Rocky Linux
- Miracle Linux (商用)
- centos stream (*) … 2022年以降の centos の後継
- 2021年夏、突如 CentOS オワコンのお知らせ!この騒動で、 次期 centos は、どうしようと世界中で悩んでいます、なう
- centos とはアップデートポリシーが異なるので、 名前は似ていても別物という認識です。 次期 redhat の実験台(人身御供) == centos stream と感じている人が多いはずで、 怖くて使えないから、どうしようと考えているところです
- fedora … redhat 系の最先端実験場。 未来の redhat の実験場と言えそうですが、 直接 redhat の次期バージョンの実験場というわけでもないみたいです。 いずれにせよ、強者が使う distro
- SuSE (*) 日本では知名度があまりありませんが、 ヨーロッパで商用 Linux といえば SuSE Linux (スージーと発音します)です。 合併やら買収やら紆余曲折があって、よくわからなくなるけれど、 いまでも立派にありますよ SuSE :-)
- redhat (*) … アメリカ帝国の領土および植民地で商用 Linux といえば redhat
(ヨーロッパでは後述の SuSE)
- その他
- alpine
- gentoo
- Arch Linux
- core は買収されてどうなったんだっけ?
ビジネス的に最重要なものには (*) をつけておきました。 ちなみに資格試験 LPIC にも代表的な distro の問いは出ます:-)
リファレンス
- Debian JP (日本語)
- Ubuntu JP
- Canonical 社の日本語ページ (https://jp.ubuntu.com/)
- Linux Mint
- Redhat 社
- CentOS
- Fedora
- OpenSUSE
- Arch Linux (日本語)
- Gentoo Linux