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Linuxディストリビューション

Linux ディストリビューション略して Linux distro さらに略して単に distro と呼びます。 BSD Unix や 商用 UNIX に distro という用語はないので、 distro と言えば Linux 系の話に決まってます

OS は

  1. カーネル (OS の中核部分)
  2. ユーザランド (ユーザが操作に使うプログラム群)
  3. サードパーティ (OS作成者(たち)とは異なる第三者提供のプログラム群) の3つの部品から構成されます。 このサードパーティ部分は、たいていパッケージという名前で呼ばれており、 パッケージを管理するソフトウエアがユーザランドに含まれています。

BSD Unix たとえば NetBSD では、 カーネルとユーザランドがプロジェクトの配布物で、 NetBSD Project の直轄です(ソースコードを管理、配布物を生成)。 この配布物のユーザランドには pkgsrc と呼ばれるパッケージ管理システムが含まれており、 サードパーティ製品(含まれる製品数は3万超)を別途インストールすることができます。

Linuxの場合、そもそも作者が無数にいて、

  1. カーネルは原作者 Linus Torvalds で、いまでも Linus を中心に世界中の開発者が参加して開発中
  2. GNUプロジェクトの製品を中核に、世界中からかき集めたもの
  3. その他、世界中からかき集めたもの

この3つ組み合わせになっています。 Linux ディストリビューションは、この3つの組み合わせ方の違いです。 Linux ディストリビューションを大まかに分類すれば数通りしかありません。 ただ、 ディストリビューションの作成者のポリシー次第で無数の組み合わせかたがありえるので、 マイナーなディストリビューションまで数えると、 いったいいくつあるのかわかりません、数百? (それに短期間で生成・消滅してしまうものも多いしね;-)

ただ、大分類では、このような感じになります

  • Debian GNU/Linux 系
  • Redhat(社) 系
  • その他
    • もっとも古い distro のひとつ slackware に由来するもの
    • alpine みたいに、とにかく小さいぞ!?(これは、コンテナ時代になって需要が高まった分野)
    • BSD Unix のように、ソースコードをコンパイルしていくのじゃ

実用的には、次の名前あたりは、おさえておきたいですかね〜

  • Debian GNU/Linux 系
    • debian (*) … Debian GNU/Linux という名前のとおりフリーソフトウエア運動の本流
      • 1/4世紀ちかくコミュニティだけで開発を続けてきたフリーソフトウエア運動の本家本元。 もっともフリーソフトウエア原理主義に近いプロジェクトですが、 真の原理主義者は debian すら生ぬるいと言います
      • オープンソースソフトウエアの理論武装は、 debian プロジェクトのフリーソフトウエアとはなにか?という定義を元に作られました (1998)
      • 多くの distro の元になっています
      • 新規開発の母体として選ばれるのも、たいてい debian
        • ソフトウエアルータ vyos (旧 vyatta)
        • ラズベリーパイの公式イメージ rasbian
    • ubuntu (*) … 使いやすさ優先という感じ
      • 大金持ちが作った Canonical 社がバックについている OSS プロジェクト。 Canonical からサポートも購入可。 Canonical 社というバックがある分、いろいろ連携とかも強いみたいで、 Intel NUC 公式サポートとか、 機械学習ライブラリ公式サポートとかいう話になると ubuntu がすごく強い
      • 開発のブレとかには金持ちの道楽的な感じもあるけれども…
    • Linux Mint … 使いやすさ
      • いろいろな見栄えの(GUI管理のソフトが異なる)バージョンがあるので、 MATEという軽いXP風のバージョンを選ぶとか、いろいろ選択できます。 MATE は debian にも逆輸入されて、インストール時に MATE 選択とかできるようになっています
  • Redhat(社) 系
    • redhat (*) … アメリカ帝国の領土および植民地で商用 Linux といえば redhat (ヨーロッパでは後述の SuSE)
      • 商用サポートが買えることに意義がある distro (なんだかんだと、サポートはないのか!という顧客が多いので商売繁盛)
      • 2019 年、IBM に買収されました
    • centos (*) … 2021年末でオワコンが決定事項
      • redhat の配布物を元に作成する、はっきりいって redhat のぱちもので、 サポート買う気が無いなら、これで十分と考えている人が多い。 そして、すごく保守的なアップデートポリシーなので運用向きと言えます。 (とくに会社で運用するサーバで)サーバ運用は centos で行うということが多い。 もちろん本家は、それが商売の邪魔だと思っているでしょう。 定期的に存続の危機がおとずれるプロジェクト。 CentOS の存続騒動は毎回、本家が絡んでます…
      • Scientific Linux: 前回の CentOS 騒動の際に CentOS からの移行先としてブレイクした distro 。 新規開発は停止済みなので現在利用中でなければ忘れてよい distro
      • 2021年の CentOS 騒動で移行先候補
        • Alma Linux
        • Rocky Linux
        • Miracle Linux (商用)
    • centos stream (*) … 2022年以降の centos の後継
      • 2021年夏、突如 CentOS オワコンのお知らせ!この騒動で、 次期 centos は、どうしようと世界中で悩んでいます、なう
      • centos とはアップデートポリシーが異なるので、 名前は似ていても別物という認識です。 次期 redhat の実験台(人身御供) == centos stream と感じている人が多いはずで、 怖くて使えないから、どうしようと考えているところです
    • fedora … redhat 系の最先端実験場。 未来の redhat の実験場と言えそうですが、 直接 redhat の次期バージョンの実験場というわけでもないみたいです。 いずれにせよ、強者が使う distro
    • SuSE (*) 日本では知名度があまりありませんが、 ヨーロッパで商用 Linux といえば SuSE Linux (スージーと発音します)です。 合併やら買収やら紆余曲折があって、よくわからなくなるけれど、 いまでも立派にありますよ SuSE :-)
      • OpenSUSEというOSSもあります。 OSC (<- OSSのイベント)に行くと、 OpenSUSE 配ってる人がいたりするので、 最新情報は、その人たちに聞いてください:-)
  • その他
    • alpine
    • gentoo
    • Arch Linux
    • core は買収されてどうなったんだっけ?

ビジネス的に最重要なものには (*) をつけておきました。 ちなみに資格試験 LPIC にも代表的な distro の問いは出ます:-)

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雑多なリンク集

Last updated on 5 Dec 2021
Published on 5 Dec 2021
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